2013/04/28

動画ができるまで-4

さて、GWに突入しましたね。こちらはいいお天気、李花尺です。
今日は動画ができるまでシリーズの最後、実際に動画を作っている所を紹介したいと思います。


動画はiMove HDを使って作成しています、古いソフトですね。作業の流れは

  1. photoshopで作成した各コマの読み込み(5 sec. /コマで読み込み)
  2. 実際に再生しながら、作中の台詞を頭の中で“音読”して、各コマの時間を修正
  3. 各コマをつなげるエフェクトを選択
  4. BGMの選出・調整
  5. 書き出し

といった感じです。実際にはこのような画面を見ています。

このキャプチャはほぼ完成している状態なので、各コマに適当な時間が割り振られていますね。


ステップ2の時間の割り振りが、かなり大切な部分ですし、一番気を使っているかもしれません。だいたい声に出して台詞をよんだ場合と同じ時間になるように、各コマの時間を修正していきます。最初は各コマに5秒割り当てられていますから、短い台詞しかないと再生時間中に台詞を読み終わってしまいますから、その場合は時間を短くします。逆に台詞が長いとコマあたり7秒とか10秒とかに設定しています。現在は字幕式で、字幕だと収まる台詞量が制限されてますから、だいたいコマあたり7秒ぐらいが限界でしょうね。実際には再生しては止めて、設定をいじり、また巻き戻して再生して・・・ということを繰り返します。

ステップ2が終わったら、エフェクトをつけていきます。まず、各コマに描かれている内容が変わる場合に、クロスディソルブというエフェクトで場面転換をさせています。これは「連続するコマが混ざりながら次のコマに変わる」というやつです。吹き出しが増えるだけ、というような場面では基本的になんのエフェクトもかけていません。
 大きく場面が変わる場合はいわゆる「暗転」させます。この場合はコマの間に真っ黒のコマを挟み、クロスディソルブでつなぎます。そのときはクロスディソルブの効果を長めにとってゆっくりと場面を転換させることで、時間が経った事をアピールします。
 また、ちょっと場面が変わる場合、例えば、コマとコマの間にちょっとした「間」がある場合(例えば、物をとりにいって、また戻ってくるまでの間)は、クロスディソルブではなくて、ホワイトアウトを使っています(一旦画面が白くなるなるやつですな)。

BGMの選出ですが、iMoveに付属のBGMとniconicomonsからダウンロードしたBGMを基本に現在は選んでいます。コモンズよりダウンロードしたBGMはだいたいメインの楽器の種類ごとに分類して保存しています(↓こんな感じ)。ちなみにpianoフォルダはたくさんの曲が入っているので、その中でさらにアップテンポとかローテンポとかに分類されています。
「オープニング」から「和&オリエント」という名前のフォルダにはiMove付属音源がその”雰囲気”によって分類されています。このフォルダ分けもたしか自分でやったように記憶してます。最初からこういう分け方ではなかったと思うのですが・・・どうだったでしょうね。
 さて、この分類をもとにして、場面の雰囲気にあうBGMを探します。なるべく同じ音源を何度も使う事はしないようにしていますが(特にコモンズの作品)、何を使って、どれが未利用なのかすぐわかるようにはしていないので、何度も使うことがあります。もちろん、シリーズとして共通させる場合は別ですが。
 私は先に各コマに時間を割り当てているので、各場面のBGMの長さがあらかじめ決まっています。ですから、場面場面の時間にあう長さのBGMを探す事になります。もちろん、BGMのほうが長い場合は曲を「切り取る」ことも可能ですが、やはりBGMにも始まりと終わりがあるわけで、場面とBGMの長さが一致している方がより素直な感じに仕上がる事が多いです。BGM選びはまずは雰囲気、そして次に時間を目安にして選んでいきます。もちろん、BGMの長さとあらかじめ設定した場面の時間がぴったりと一致するという事はまれなので、その場合は、各コマの時間を少しずつ短くするとか、長くするなどの微調整を行います。
 最後に、フェードアウト・インなどの音量の設定を必要に応じて行います。これにて完成ですね。


さて、書き出しですが、これについては私自身がよくわかっていないです。とりあえず、

video format : mp4 H.264
frame rate : 15 fps
image size : 1280 x 720
video data rate : 300 - 400 kbps
audio format : AAC-LC
audio data rate : 112 kbps
channel : stereo
sample rate : 48 kHz


の設定で書き出しています。データレートに幅があるのは、予想される容量が36Mぐらいに収まるようにするために変更するためです。BGMの重要度が低い場合はオーディオのデータレートも下げる事がありますね。こんな感じです。16:9に対応して以来、書き出しにかかる時間が増えたので、なるべくミスがないように入念にチェックをしてから書き出します。それでも毎回のように書き出しのし直しをやってますね。



さて、これにて動画ができるまでシリーズを終えたいと思います。いかがだったでしょうか。まぁ、動画を作る上で役立つノウハウがつまっているわけではないので、のんびりと「へぇ・・・」ぐらいの気持ちで読んでいただけたらなぁと思っていました。要は動画をつくるなんて、そんなに技術的には難しいことではないと思うのです。もちろん最初からうまい人なんていないので、多少の努力と継続が必要ですが。

 近頃はMMDなんていう「振り込めない詐欺」なソフトもありますし、小説をpixivに投稿するというのも手ですよね。少し前に「everyone creator」というキャッチフレーズでgoogle cromeのCMを初音ミクをつかってやってましたね。これからどういう風に進んでいくかわからないですけど、私たちは「everyone creator」の時代が始まろうとしている局面に立ち会うことのできた幸せな世代だと思います。今、ニコニコ・youtubeをはじめとした発信インフラがそろってきて、強力な有償・無償のツールが存在する。もちろん、creatortとして食べていく、いわばプロとして活動することは今も昔も難しいことは変わりないと思います。ですが、自分の思いをたくさんの人に伝えていくことがこんなにも身近になっているのだから、それを利用する事にもっと積極的になってもいいのかもしれません。私は東方・ニコニコ・手書きというプラットフォームで表現していますが、これに限らず、皆さんがなにかを表現して、共有するという事に向き合う時間が増えれば、それはきっと素敵な事なんじゃないかなぁと思います。


・・・・さて、とりあえずネタがつきたので、週一でのシリーズものはこれにて一旦終了。週一更新は続けていこうと考えてますが、分量は少なめ、内容はバラバラと、いう感じで、ゆる〜く続けていく所存です。何かリクエスト等ございましたら、コメントやツイッターなどなどで、伝えてくだされば対応したいと思っています。ではでは。

2013/04/21

動画が出来るまで-3


ご機嫌いかがでしょうか、李花尺です。
先週に引き続きまして、作画パートの紹介をしていこうと思います。

まず、カラーパレットの話。

私はこのシンプルなカラーパレットを利用しています。それに加えて、よく使う肌色、朱色、紺色といった色はパレットに登録しています(下から2行目、右から6列目の濃紺から追加したパレット色)。このパレットの中の色の組み合わせで私は色を塗っています。

作画は黒ではなくて濃い茶色を単色で利用しています。後の色はこのパレットの色の組み合わせで表現しています。

基本的にはこのように二種類の色を混ぜて使っています。各キャラクターの服・髪・目などにそれぞれ色をあらかじめ準備しているわけではないので、作画パートが長期間にわたると、「あれ、この服の色はどの組み合わせだっけ?」という現象がたまに生じます。後、色塗りは基本的に「乗算」で塗っているので、色が濃くなっている部分はその色で塗っているわけではなくて、ただの二度塗りであることが大半です。影になっている部分については、メインの色に灰色を混ぜて二度塗りを行うこともありますが、それは特殊な例ですね。

あと、夕焼けや夜の場面で、画面全体が暗かったり、朱色に染まっている場合がありますが、それは紺や朱色で塗りつぶした単色のレイヤーの乗算で表現しています。その色で塗っているわけではありません。筆だけで微妙な色合いを表現するのは難しいですからね。



ペンツールの話。

独特(?)の筆で書いたような線はこのようなブラシを使って表現しています。プリセットのブラシを少し改変したモノです。

基本的にこれ以外のブラシは使っていません。左は細かい作画用ブラシ、中央は普通の作画用ブラシ、右は色塗り用ブラシです。この3種類のブラシはサイズが違うだけではなくて、微妙に設定が違いますが、同じプリセットから派生しているのでだいたい同じです。作画はペンツールを、色塗りは鉛筆ツールを乗算で使っています。鉛筆ツールの不透明度は必要に応じて変化させていますが、普段は100%の濃さで使っています。重ね塗りするときは不透明度を下げることがありますね。


作画を説明するとこんな所でしょうか。では来週は動画制作パートを紹介したいと思います。

2013/04/13

動画が出来るまで-2



さて、今日は作画の話をしましょうか。


動画を作る上で最も重要なパートと言っても良いかもしれません(ほんとは脚本が大事ですが、重要度はこちらも譲れないかと)。前回書きましたが、私はphotoshop CSを使って作画を行っています。まず、作画の大まかな流れですが、

1)下書き
2)線入れ
3)色塗り
4)背景の作成
5)ぼかしなどの処理
6)吹き出しの作成 or 字幕の作成

という順番になっています。
せっかくなので現在作成中の作画をキャプチャして見てみましょう。
(現在、字幕式の動画を作っているので、吹き出しはないです)

これが下書き段階。
台本を見ながら情景を想定して描いていきます。基本的にカメラワーク論なんて有りません。直感的に描いています。表情を捉えたいときは近くに寄りますし、登場人物の位置関係を見せたいときは引きますし、あんまり同じ構図が続かないようにカメラを回したりします。

そして線入れ段階(清書?)。

下書きのレイヤーの透明度を下げて、上からなぞっていきます。基本的に「さっと」筆を走らせて、満足行く線が引けるまでやり直しです。ゆっくりと丁寧に線をなぞる、ということはしていません。表情と体は別レイヤーになっていることが多いです。

次は色塗り段階



最近はまずざっくり塗って、それを消しゴムツールで整形するというのが私の中の流行です。そのときは新しいレイヤーを使って塗ることもありますが、塗り終わるとそれを速攻でこれまでの「色」のレイヤーに結合します。ですから、都合、“下書き” “線” “表情” “色”の4枚のレイヤーがここまでで存在することになります。(表情のレイヤーは無い場合もありますが)

続いて背景を描く段階

背景はめったなことで下書きしません。新しいレイヤーにざっくり描いていきます(このキャプチャではすでにエフェクトがかかっちゃってますが、気にしないで)。
そしても新しいレイヤーで色をつけます(背景の色と線のレイヤーはすぐに結合させることが多い)。そして、背景もその距離によって、別のレイヤーを使います(この場面だと後ろの妖精と黒板のある壁は別のレイヤーでした)。これは背景を一枚のレイヤーに結合すると、最後にエフェクトを使うときに都合が悪いためです。
空も新しいレイヤーを使って、選択ツールで空の部分=色がぬけている部分を選択し、グラデーションツールを使って描きます。

最後に微調整というかエフェクト

背景の線と色のレイヤーを結合して、ぼかしのエフェクトを使ってレンズの遠近感っぽいものを演出します。より遠いところはきつめにエフェクトをつけたりしますが、基本的には適当です。


とまぁ、こんな感じです。一枚あたりは10分から30分という所でしょうか。微妙な表情を描きたいときなどはもう少し時間がかかっているかもしれません。後は、込み入った背景を描いていると時間がかかりますね。私は他の人のメイキング動画とか生放送とかを見て研究してないので、非常に単純で素朴な使い方をしています。photoshopの機能の半分も使ってないですね(いまだにマスクの使い方がよく分からない・・・)。

来週はカラーパレットとか、筆の種類とか、ちょっと細かい所を紹介したいと思います。ではまた来週。

2013/04/07

動画が出来るまで-1


今週から、私の動画作成の過程を紹介したいと思います。もし何か知りたいことでもございましたら、コメントしてくだされば答えていこうと思っていますので、お気軽にどうぞ。

まず、私の動画作成は3つの過程からなっています。

1)脚本パート
2)作画パート
3)動画パート

それぞれになにをやっているのかと言いますと、
脚本パートでは台本作りをして、
作画パートでは実際の絵を描いています
動画パートで絵(各コマ)に時間を割り振り、BGMSEをつけています。

で、作業環境ですが、

Mac OS 10.4, PowerPC G5 (dual 2 GHz) 2.5 GB メモリ

です。このスペック上で、脚本は「テキストエディット」、作画を「Photoshop CS」、動画では「iMovie HD」を使って作業しています。

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さて、今日は脚本パートのことでも。
実際にはこんな感じで台本を書いています。


 ご覧のようにすべてセリフのみ、そして「誰が」しゃべっているのかは記述していません。私の動画では一度にたくさんの人物がしゃべると言うことがほとんど無いので(せいぜい3人ぐらいまで)、これで全く支障がありません。むしろ、台本を書いて、見直したときにこれは誰のセリフだ?、となるようであれば、それは会話の流れがおかしいか、それともその登場人物が作り込めていないかのどちらかだと考えています。まぁ、ほとんどの場合、2人しか登場人物がいなくて、お互いが交互にしゃべるわけですから、問題有りません(と、いうよりも問題があったらこの手法はとっていないでしょう)。ただ、キャプチャした台本はチルノ・大妖精・リグル・橙・ルーミア・慧音と比較的たくさんの人物が登場しているので、ちょっとわかりにくいですね。ちなみに情景が変わる場合には

#寺子屋・昼休み
#大妖精・リグル・ルーミア・橙

というように、場所とその場面での登場人物の情報を台本に記載しています。

 後、各セリフに番号が振ってあるのは、およその動画の時間を見積もるためです。特に長編ではなるべく1話の長さを統一しようと心がけているので、セリフの量というのは案外大切な要素ですね。だいたい100セリフで7分ぐらいでしょうか。

 私は脚本をすべて書いてから次のパートに移ります。「巡るは季節」のような長編でも基本的にすべての脚本を完成させてから作画を開始します。もちろん、納得がいかなければ途中で書き換えることもしますが、基本的に最後のセリフが完成した状態から作画が始まります。



 私は脚本の善し悪しでその動画の善し悪しが決まると、基本的には考えています。このブログの後書きでもちょくちょく述べていますが、それぞれの動画にはコンセプト(ちいさな発見や提案)があります。一方で、繰り広げられる会話そのものを自然なものにするために、場面場面で一気に書きます。どういう事かと言いますと、会話というのはそんなに自分の中で推敲を重ねて発せられるものではないので、脚本を書くときも、「この妖怪はこういうことを考えて、こういう展開に持って行きたいから、こういうセリフをしゃべらすと良い」というように考えないようにしていると言うことです。自然な会話を考えるのに、その登場人物になりきって「すっと」でて来ないセリフはだめだろうという考え方といってもいいでしょう。ですので、脚本が完成するまでの時間というのはあんまり長くありません。逆に、その登場人物が自分の中に出来ていないと、自然に会話をすることが出来ないので、なかなか登場させることの出来る妖怪が増えにくいですね。ですから、私の動画では「緻密な会話」というのはあまり展開していません。伏線とかも張れないんですよね。そういうのは作者という「神の目」視点ですから。登場人物目線で会話を作っていくと、なかなか伏線は発生しないんですよ。もちろん、短編がメインだと言うこともあるのですが。

脚本が出来たら、いよいよ作画ですね。それはまた来週にでも。